【Football×色彩学】ベガルタ仙台 百年構想リーグ ユニフォーム徹底解剖!「強く輝く黄色の星」と「冷たく静かな白い星」

Football×ユニフォーム×色彩学

1. はじめに

こんにちは、色彩とフットボールを愛するブログライターYchanです。

ベガルタ仙台というクラブは、その名の由来(織姫のベガと彦星のアルタイル)からも分かるように、「星」と「光」をアイデンティティとするチーム。

2026年、百年構想リーグにおいて、彼らが選んだのは「原点回帰」とも「破壊的創造」とも取れるデザインでした。特にホームキットにおける大胆なグラフィックは、近年のJリーグのトレンドである「街の風景を透かしで入れる」といった叙情的なアプローチとは一線を画しています。

ファンの間では期待と不安が入り混じっています。「強そうに見えるのか?」「街着として成立するのか?」。そして何より、「アイリスオーヤマのロゴとの親和性はどうなんだ?」という永遠の課題。

今年のユニフォームは、「視覚的な暴力(いい意味で)」です。では、その理由を紐解いていきましょう。


2. 【前提知識】サッカーにおける「色の機能」とは?

本題に入る前に、少しだけ色彩学の講義をさせてください。これを理解すれば、あなたのユニフォームを見る目は劇的に変わります。サッカーにおいて色は単なる装飾ではなく「機能」という側面もあります。

① 進出色と後退色

サッカーにおいて最も重要な要素の一つ。

  • 進出色(暖色系・高明度):赤、橙、黄など。実際よりも飛び出して、近くに見える色。
  • 後退色(寒色系・低明度):青、青緑、黒など。実際よりも遠く、小さく見える色。
    ベガルタの「ゴールド(黄色)」は典型的な進出色です。ピッチ上で選手が大きく、迫って見える効果があります。

② 誘目性(ゆうもくせい)と視認性

  • 誘目性:無意識に目が向いてしまう性質。黄色と黒の組み合わせ(警告色)が代表例。
  • 視認性:背景との対比で、対象が見えやすいかどうか。
    サッカーでは、パスの出し手が味方を見つけやすいか(視認性)、敵に威圧感を与えられるか(誘目性)が機能として求められます。

③ 色のトーン(Tone)

「赤」や「青」といった色相(Hue)だけでなく、そこにどれくらい白や黒が混ざっているかを表す概念。

  • ビビッド(vivid):冴えた、鮮やかな。
  • ディープ(deep):濃い、深い。
    このトーンのズレが、ユニフォームの「安っぽさ」と「高級感」を分けます。

講義はここまで。いよいよ実物の解剖に入ります。


3. Home Kit レビュー:情熱の爆発か、視覚の崩壊か

<引用>VEGALTA SENDAI OFFICIAL ONLINE STOREより引用
https://onlinestore.vegalta.co.jp/uniform-2026/

まずは、Home KItから。

3-1. 色彩分析:PCCSによる解剖

ベースカラーは、クラブの魂であるベガルタゴールド。PCCSで言えば、色相8(イエロー)ビビッドトーン(v8)に近い、極めて彩度の高い黄色。

今季最大の特徴は、前面に施された「星」の大胆な配置。これ、単なるプリントではない。
色彩学的に見ると、「トーン・オン・トーン配色」の技法が使われている。ベースの黄色に対し、わずかに明度彩度を落とした(あるいは上げた)同系色の黄色で幾何学模様を描いている。

  • 視覚効果:このグラフィックは「視覚混合」を引き起こし、遠目に見ると単色の黄色に見えるが、近距離では複雑なテクスチャとして認識される。これにより、平面的な黄色が持つ「のっぺり感(チープに見えがち)」を見事に回避している。

そして、アクセントカラーとして採用された「ベガルタレッド」のパイピング。
黄色(色相8)赤(色相2〜3)は、色相環において「類似色」の関係にある。本来、類似色は馴染みすぎてボヤけがちだが、アディダスはここでパイピング(細い線)として赤を使用。これは「セパレーション効果」を狙ったものと考えられる。膨張しがちな黄色を、赤いラインで引き締める。筋肉の繊維を際立たせるような効果がある。

3-2. 批評

このデザインは、ピッチ上での「機能性」が抜群に高い。
黄色の誘目性は全色中でトップクラス。そこに不規則な幾何学模様(星の破片)が入ることで、敵選手からすると「距離感が掴みにくい迷彩効果(ダズル迷彩の応用)」が期待できる。
また、コンセプトにある「情熱の導火線」というストーリーテリングも、高彩度の黄色と赤の組み合わせによって、色彩心理的な「興奮(Excite)」を最大限に引き出している。アドレナリンを分泌させる配色。
はっきり言って、「強そう」。守りに入っていない、攻撃的な意志を感じる。

さて、ここからは愛を込めた批判。
幾何学模様のエッジが鋭角すぎるため、見る人によっては「星」ではなく「亀裂」や「崩壊」というネガティブな連想(色彩連想)を引き起こすリスクがある。
そして、毎度おなじみ、胸スポンサー「アイリスオーヤマ」様のハートマーク。白地に赤のハート、そして黒文字。このロゴ自体の視認性が高すぎるため、複雑な黄色の背景と喧嘩している。黄色(地)×赤(図)の組み合わせは、彩度が高すぎてハレーション(目がチカチカする現象)スレスレ。


4. Away Kit レビュー:静寂の中に潜む鋭利な刃

<引用>VEGALTA SENDAI Official Website
https://www.vegalta.co.jp/backnumber/2025/news-team/2025/01/post-726.html

続いて、昨シーズンと同様Away Kit。Home Kitが「動」なら、こちらは間違いなく「静」

4-1. 色彩分析:PCCSによる解剖

ベースカラーはホワイト。PCCSでは無彩色(ニュートラル)。
そこに組み合わされるのは、ベガルタブルー。おそらく色相18(ブルー)あたりのストロングトーン(s18)か、やや暗めのトーンだろう。

Away Kitのデザインは、Home Kitの「星」の要素を踏襲しつつも、アプローチが真逆。
Home Kitが「同系色の複雑さ」で攻めたのに対し、アウェイは「コントラスト(対比)」で勝負している。
白(最高明度)
青(中〜低明度)の組み合わせは、「明度対比」が最大化される。これにより、清潔感、知性、冷静さといったイメージが形成される。

特筆すべきは、サイドや肩に入った青の面積比
白を基調としつつ、人間の骨格ラインに沿って青を配置することで、視覚誘導を行い、選手の体格を逆三角形に補正して見せる効果があります。

4-2. 批評

美しい。ホームが「爆発」なら、アウェイは「洗練」
色彩心理的に、青は「鎮静色」であり、アウェイの敵地というプレッシャーのかかる環境下で、選手のメンタルを落ち着かせる効果が期待できる。
また、街着(ファッション)としてのポテンシャルはこちらが上。白×青の配色はデニムとの相性が抜群で、スタジアム外でも違和感なく溶け込めるであろう。

しかし、厳しく言えば「面白みがない」とも言える。
「白ベースにチームカラーの差し色」というのは、世界中のサッカーチームが採用する最も安全な(リスクの少ない)手法。悪く言えば「体操着」っぽくなりかねない。
特に、ホームの大胆な「バキバキ星柄」を見た後だと、アウェイの柄の控えめさが「日和った(ひよった)」ように見えてしまう。
また、ここでもアイリスオーヤマのロゴ問題が発生する。白ベースなので、ロゴの白い背景枠が消え、赤いハートがより鮮烈に浮かび上がる。結果、「全体的に青でまとめているのに、心臓部分だけ真っ赤」という、やや不気味なほどのアクセントになってしまっている。これを「クラブの心臓(ハート)は熱い」と捉えるか、「配色のバランスブレイカー」と捉えるかは、あなたの信仰心次第。


5. おわりに

2026シーズンのベガルタ仙台のユニフォーム。
総括すると、アディダスジャパンは「色彩の二面性」を極めて高いレベルで実装してきました。

  • Home:高彩度・類似色相による「興奮・威嚇・カオス」。敵を焼き尽くす太陽の炎。
  • Away:高明度差・対照色相による「冷静・規律・秩序」。夜空に輝く冷たい星の光。

色彩学的に見れば、この2着は完璧な補完関係にあります。

ピッチ上で選手が躍動し、その複雑なイエローが芝生の緑(補色関係に近い)の上で輝くとき、私たちはその「視認性の暴力」に酔いしれることになるでしょう。

「派手すぎて目が痛い?」
上等です。対戦相手の目をくらませ、一瞬の隙を突く。それが今季の仙台の戦い方だというメッセージなのだから。

さて、皆さんはどちらを選びますか?
情熱で網膜を焼かれるHome Kitか、理知的に心を冷やすAway Kitか。

さあ、スタジアムを黄色で染め上げよう。
※アイリスオーヤマの商品を帰りに買うのも忘れずに❤️IRIS

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